ページの本文です。
2025年2月14日更新
本学基幹研究院自然科学系飯田薫子教授がメンバーである、埼玉医科大学医学部中央研究施設の豊島秀男客員准教授、横尾友隆准教授、筑波大学医学医療系の島野仁教授、順天堂大学大学院医学研究科難病の診断と治療研究センターの岡﨑康司センター長、大阪大学大学院生命機能研究科の髙島成二教授らの共同研究グループは、消化管から分泌される生活習慣病に関連する液性因子を広く探索し、糖尿病治療の新たな候補分子としてインスリン分泌促進と膵β細胞(用語1)増殖促進の二つの作用を併せ持つ消化管由来ペプチドBetagenin(ベータジェニン)を発見しました。Betageninは動物モデルで糖尿病を改善する効果があり、その作用機序を詳細に解析すると重要なことに、糖尿病によって減少した膵β細胞を再生することが明らかとなり、長期的な血糖コントロールを改善する画期的な治療法につながる可能性があります。
本研究成果は、Journal of Biological Chemistryのオンライン版に2025年1月16日(木)付で公開されました。
糖尿病はインスリンの絶対的、相対的な作用不足により発症します。インスリンは、膵β細胞から分泌される血糖を低下させる唯一のホルモンです。1型糖尿病は自己免疫的機序によって膵β細胞が絶対的に減少し、2型糖尿病は膵β細胞が相対的に減少し十分なインスリンが分泌されず、血糖値が上昇する事が知られています。
糖尿病の臨床では、経過と共に膵β細胞からのインスリン分泌能が低下することが病態悪化の大きな要因の一つであると考えられています。現在、膵β細胞からのインスリン分泌を増加させる治療薬が臨床で使用されています。一方、現在までに膵β細胞の量を増やし、インスリン産生を促進させる治療法は確立されていません。近年、インクレチン(用語2)関連製剤が糖尿病治療薬として大きな成功を収めていますが、インスリン分泌能の維持、膵β細胞の保護作用について結論は出ていません。
(1)膵β細胞:膵臓ランゲルハンス島にあり、インスリンを合成?分泌する細胞のこと。
(2)インクレチ